TOPページ > コラム(突発性難聴と再生医療)

突発性難聴の再生医療の治療法が臨床試験に入り、今後は最も有効な方法になる日がくるかも?知れません。

これまで突発性難聴の治療と言えばステロイドや高圧酸素療法、星状神経ブロックなどが中心でした。

どの程度効果的かは、一まず治療を施してみないとわからない、数週間過ぎてしまうと殆んど聴力の回復は望むことは出来ないのが、これまでの常識でした。

内耳の感覚細胞は一度傷ついて壊れてしまうと、もう再生することは出来ません。

もし、突発性難聴で内耳の聴覚細胞が傷つき、これが原因で難聴が生じ数週間経過したら、どんな薬でも手術でも聴力を回復させる事は困難だったのです。

しかし、京大病院における突発性難の再生医療では発症1か月以内でステロイドが効かなかった患者25人にこの治療を行ったところ、半年後に過半数の14人で聴力が改善したそうです。

ステロイドが効かなかった患者さんに再生医療を施しているのですから、発症から10日以上経過しているか、受診が遅い方なら20日程経過している患者さんもいらっしゃったのでしょう。

25人中、14人に改善が見られたのですから、これまでの治療では考えられない程高い治癒率だと思います。

いったいどんな治療法なのかと言いますと、鼓膜に穴をあけてこの蝸牛に接する膜に、「インスリン様細胞増殖因子」 と呼ばれるゼリー状の物質(ゲル)に含ませて張り付け、一週間連続で行い聴覚細胞を再生する技術です。

対象となるのは1ヶ月以内なので、それ以上放置しているとやはり再生不可能な状態になるのか?
また、治癒しなかった10人は聴覚細胞の損傷が酷く蘇生せる事は不可能だったのかも知れません。

聴覚をつかさどる内耳は骨の中で大事に保護を受けていますが、ウイルスによりコルチ器が破壊されてしまうことやアミノグリコシド系抗生剤は有毛細胞を損傷し、強い音を聞けば音を感知する有毛細胞が破壊されることがわかっています。

それだけナイーブな器官だと言えますね。

今後、再生医療の臨床試験数を重ねるごとに、突発性難聴に対する治療にどこまで有効であるかや対象となる患者様など具体的なデータが揃い、突発性難聴で聴力を失う人が殆んどいなくなる日が来るのかもしれません。

耳の構造(蝸牛)

蝸牛の構造と機能

蝸牛は前庭階と鼓室階と、これに挟まれた蝸牛管の三つから構成されています。

蝸牛管と鼓室階との境が基底板で、その上に振動センサーの役割をはたすコルチ器がのっています。

前庭階と鼓室階とは外リンパ液が充満し、蝸牛管には内リンパ液が入っています。

音が鼓膜から耳小骨に伝わり、その振動が外リンパ液を振動させ、ついでライスネル膜を通して蝸牛管の内リンパ液に振動が伝わり、基底板が振動し、その上にのっているコルチ器も内リンパ液の中で振動します。

音を感じるセンサーのコルチ器を載せた基底板は、細い帯上で、この上に1万5000個の有毛細胞がびっしりと 並んでいます。

音が内耳に伝わると基底板は整然と波打ち、広がって進んでいきます。

高い音では入り口に近いところで、振幅が大きく、逆に低い音では振幅が大きくるのは奥になります。

つまり蝸牛は周波数分析を行っていると考えられています。