TOPページ >コラム (ストレスと突発性難聴)

突発性難聴を発症する誘引としてストレスの蓄積や疲労が影響していると聞かれたり読まれたりしたことはありますか?

この病気に興味に関心があるかたならご存知だと思います。

ストレスを引き起こすストレッサー(ストレス要因)には、物理的(気候や環境の変化)・化学的(煙草・アルコール等)・生物学的 (ウイルス・細菌)・心理的(怒りや悲しみ等)・社会的(対人関係)などに分ける事が出来ます。

近代社会はストレス社会と言はれるように、職場や家庭、あるいは心身症などによるストレス、高齢化に伴う介護などの問題からくるストレスなど、多くは日常生活と深い関係のある現象としてあらわれます。

現在のように感染症による致命的な疾患が殆んど克服されて、ある特定の原因から特定の病気が生じると言う単純な構造ではもはやなくなりつつあります。

つまり、突発性難聴に限らず、多くの疾患がストレスと因果関係にあると言えます。

それは突発性難聴の発症率の推移をみれば明らかで、昭和47年の調査で3000~4000人の患者数が平成13年度以降は13万人を突破するようになっています。

たしかに、この病気の認知度や受診率の増加などの影響も考えなければなりません。

しかし、突発性難聴の増加率に推移を見れば、他の影響を差し引いても産業構造や生活習慣環境の変化についても考慮する必要が十二分にあると言えます。

明治・大正期におけるわが国の産業構造は、言うまでもなく農林水産業を中心とした一次産業です。
このような時代や産業構造におけるストレスは、殆んどが身体的なストレスと考えられ、劣悪な生活・職場であり、封建的で献身的な時代背景があります。

しかし、戦後は生活環境や労働条件も徐々に改善されつつある一方、OA機器、 女性の職場進出や能力主義への急速な転換、複雑化する職場での人間関係が新たなストレスと生み出していると考えられています。
また、工業化に伴う化学的ストレスは増加していったと言えます。

今現在、わが国を初め先進国は、高度情報化社会と呼ばれ、FAXやインターネット通信などにより極めて高速の情報通信が可能となってきています。

テクノ不安症やテクノ依存症と言はれる、中高年の男女に見られるOA機器への拒絶反応のようなものがテクノ不安 症、OA機器への過剰適応反応と言うれるのが後者です。

情報化社会ではテクノストレスに多くの人が晒され肉体的な疲労を覚える方々も多いのではないでしょうか。
また、精神的状態に強い影響を与えると考えられていますが、真にOA機器によって引き起こされたのかどうか? についての研究はありません。

個人個人には、価値感や性格を持っていますので、強いストレスに晒された時に性格の傾向によって全く反応の仕方は違います。

では、現社会で最も日本国民にストレス度の高い出来事は何かと思われますか?

働きバチや仕事人間と揶揄される国民性から、職場関連の出来事ではないかと思われるかも知れませんが、統計上では、家庭関連の出来事が最も多いとされています。

これらは、意識的にストレスを自覚する出来事の統計でありますので、無意識にストレスになっているのは上司や 同僚との人間関係など職場関連かもしれません。

実際、統計上のデーターは客観的な判定に有用ではありますが、心理的影響を分析する上では正確に把握する事 は事実上不可能であります。

突発性難聴を患った方が、中年層の多い事実から家庭関連の出来事によるストレスが弾きがねとなっていたのかも知れませんし、そうでないのかは不明です。

結局のところ、個人的な価値観や人生観、宗教観や性格に家庭でのストレスや職場でのストレス、或いはテクノ 症候群にみられる社会的なストレスが中長期間に渡り影響を受ける事に、どこまで耐性があるかや、対処法(ヒューマン サポート)が身近にあるかなどでストレス度合いが軽減したり増加したりします。

突発性難聴を患った方で、筋肉質が声が大きくでしゃばりのような耐性のあるタイプの方を私自身、お目にかかった事は ありませんので、その点からも個人的な要因が大きい病気ではないかと考えています。